2026年1月からのロシア税法の主な変更点
B1 Tax & Legal Messengers
クライアントの皆様
平素より大変お世話になっております。
2026年1月1日より、ロシア税法の改正に伴い、付加価値税(VAT)、法人利潤税、源泉税、移転価格税制、資産税、物品税、個人所得税、社会保険料、税務管理について、幅広い変更が予定されており、グローバル・ミニマム課税が導入されます。また2026年9月より電子機器に対する課徴金が導入される予定です。
本ニュースレターでは、日系クライアントの皆様に特に影響が見込まれる分野の主な法改正についてご案内します。
なお、本ニュースレターは、2025年11月18日付でロシア下院により採択された連邦法案第1026190-8号「ロシア税法第一部、第二部およびその他のロシア連邦法の改正に関する法案」に基づいて作成しております。
付加価値税(VAT)に関する変更点
税率の引き上げ
- 標準税率:20% → 22%
- 軽減税率10%の対象となる食品の範囲から除外される品目:乳脂肪代替品を含む乳製品、スプレッド・クリーム・植物油混合の加工脂製品
VATの免除取引
- ロシアのソフトウェア・データベース権利の販売は引き続き免税
- 国有財産の無償譲渡や収用不動産の補償金受領も非課税
VAT免除の適用除外
- 銀行のカード・サービスや決済システム運営者の業務
- 貴金属の採掘事業者から精錬業者への販売(関連書類が整っている場合は、0%のVAT適用が可能)
その他の変更
- 商品の出荷時(または工事の実施、サービスの提供時)に発行する請求書にはこれまでのように支払書類の番号を記載するだけでなく、前払金または一部前払金を受け取った際に発行した請求書の「番号および発行日」も、併せて記載することを義務付ける
- 採掘インフラのリース取引に関するVATの取り扱いを明確化
- 投資プラットフォームを通じたユーティリティ型デジタル権の取得契約における支払(または前払)は、将来のデリバリー(商品、業務、サービス、または独占的権利)に対する支払(または前払)としてVATの対象に含める
- 簡易課税制度の納税者で一定の売上基準を満たす場合は、VATの課税事業者になるが、この売上基準は次の通り段階的に引き下げられる。
| 年間の売上高基準 | VATの納税者 |
| 2024年度の年間売上高>6千万ruble | 2025年1月~ |
| 2025年度の年間売上高>2千万ruble | 2026年1月~ |
| 2026年度の年間売上高>1,5千万ruble | 2027年1月~ |
| 2027年度の年間売上高>1千万ruble | 2028年1月~ |
法人利潤税の変更点
繰越欠損金の50%上限ルールが2030年まで延長
2017年1月1日から2030年12月31日まで、納税者はその事業年度の所得の50%を上限として、2007年1月1日以降に発生した繰越欠損金を控除することができる。これらの欠損金には繰り越し期限に制限はない。
国際税務・源泉税の変更点
適用停止中の租税条約に基づいて設けられていた源泉税の免除または軽減税率の適用を認める税法の規定について、以下の種類の所得に関して適用期間が延長される
- 2035年12月31日まで
- 既存の長期ローンに係る利子所得
- 2028年12月31日まで
- 航空機の購入に伴う所得
- 主要な国際・外国スポーツ大会の放送権に関するライセンス料
- ロシア企業の生産能力や生産性を向上させるために使用される外国技術の利用に関するライセンス料
- 国際海上輸送および船舶の賃貸(リース)から生じる所得
- これらの所得は、支払者であるロシア法人と、受領者である外国法人が税法第105.1条に定める関連者でない場合に限り、源泉税が免除される。
源泉税の免税から除外される所得
一方で、次の所得については、今回の延長措置の対象外となり、源泉税免除は適用されない。
- 著作物および著作隣接権の利用または利用許諾による所得
(文学・芸術・科学作品、ソフトウェア、映画、レコード、録音物、放送用媒体、その他の複製・情報伝達手段を含む) - テレビチャンネルにおける、視聴覚作品その他の知的財産および識別標識の利用または利用許諾の使用料(地上波、衛星、ケーブルその他の方法による配信を含む)
- ロシア国際船舶登録簿に登録され、ロシア国内に所在する船舶の売却による所得
外国企業からの債権の回収を放棄することに関する新規定
- ロシア企業が特定の外国企業からの債権を放棄(貸倒処理)することを認める新たな規定が追加される。
以下の条件を満たす場合、当該債権はロシア企業にとって不良債権として扱うことができる (なお、法令の文言上、条件(3)と(4)が同時に必要かどうかは明確ではない)。
- 債権が利息、罰金、違約金、その他の制裁金であり、税法第271条第4項第14.7号(新設)に基づき、2029年12月31日までにロシア企業の収益として認識されること。
- 債権が、債務免除または消滅時効の完成により消滅していること。
- 外国法人が、外国政府やその連合体、または国際的な金融・その他の機関による、支払・金融取引・借入に関する禁止的または制限的措置の対象となっていること。
- 外国法人は、その本国の国家が直接または間接的に50%以上の持分を保有していること。
- 外国企業側の課税関係:ロシア企業による債務免除(元本を含む)によって外国企業が得る所得についても、税法第310条第2項第13号(新設)に基づき、ロシアの源泉税が免除される(上記の条件(2)(3)(4)を満たす場合)
移転価格税制
税法第105.14条の改正により、外国の居住者との取引について、その外国(居住国)の法令により定められた法人税率が15%以下である場合、その取引が関連者間取引に含められる。
IT関連の優遇措置
- 社会保険料の優遇措置
スコルコボ居住者だけでなく、革新的な科学技術センターの居住者全般に対して、社会保険料の優遇税率は、上限額まで7.6%から15%に引き上げられ、上限額を超える金額について7.6%の税率が維持される。
他方、無線電子機器(ラジオエレクトロニクス)製造業者には、社会保険料の優遇税率は、上限額まで7.6%、上限超過部分は0%となる。
- ロシア製ソフトウェア費用に対する乗数の適用制限
ロシア製ソフトウェア、データベース、ソフトウェアパッケージに係る費用の乗数計算は、権利者との契約で、ソフトウェア利用権の再譲渡を禁止している場合に限り使用可能となる。すなわち、使用権の移転を防止する契約がない場合、ロシア国内のソフトウェアに関する費用の乗数は使用できなくなる。
- IT企業の再編
再編されたIT企業は、すべての再編条件(IT認定、総収入の70%以上がIT関連であること、再編に関与するすべての企業がIT関連の優遇措置を使用していること)が満たされていれば、社会保険料の優遇措置が適用される。
多国籍企業グループのロシア法人へのグローバル・ミニマム課税の導入
2026年1月1日以降、多国籍企業(MNE)グループに所属するロシア法人の実効税率が15%未満の場合、15%の法人利潤税が適用される。
物品税の変更点
- 税率のインデックス化(2026–2027年)
- 対象:エチルアルコール、ワイン・アルコール飲料、アルコール含有製品、タバコ・ニコチン製品、砂糖入り飲料
- 物品税の前払いの廃止
- アルコールおよびアルコール含有製品の生産者に対する前払い義務を廃止
- 参考卸売価格の設定
- ジェット燃料、ガソリン、ディーゼル燃料について2028年の参考平均卸売価格を設定
- 原油価格指標の調整
- Tsneft(Цнефть)およびTs(Ц)指標を国内原油価格算定方法に合わせて調整
- 国内のガソリン代の卸売価格の許容偏差:実際の卸売価格が参考値からどの程度乖離してもよいのかのパラメータを明確化
- その他の改正
- コニャック製品の生産者向け高控除率の適用期間延長、関連費用の控除対象拡大
- 海外委託加工(トーリング)で精製された石油製品の原料に対しリバース物品税を導入
- これまで投資協定を締結していない石油精製所について、投資控除を受けるために、新たに投資協定を締結できるようにする。
- 変性エチルアルコールを使用してオクタン価92以上のガソリンを製造する事業者は、登録証明書取得を義務化。なおこの登録証明書は、すでに原油処理を認める登録証明書を保有している場合にのみ発行される。
電子機器への課徴金 (Technology Fee) の導入(2026年9月より)
2014年12月31日付の連邦法第488-FZ号「ロシア連邦における産業政策について」が改正され、新たな課徴金が創設される。
ロシア政府が別途承認するリストに掲載された製品について、次の場合に支払う必要がある。
- ロシアへ輸入される場合
- ロシア国内、ロシアの大陸棚、または排他的経済水域において製造される場合
課徴金の金額および算定・支払手続は、ロシア政府が別途定めるが、対象製品をロシアに輸入する、またはロシアで製造する法人および個人事業主が支払う。
課徴金は、輸入または国内で製造されたリスト掲載製品1単位ごとに課される。
社会保険料に関する変更点
- 中小企業に対するインセンティブが廃止され、通常の保険料率で積み立てる(上限額まで30%、上限を超える金額に15.1%)。
- 企業の経営層への報酬額が連邦政府が定めた法定最低賃金の額に満たない場合、社会保険料の金額は法定最低賃金で算出される。(パートタイムで権限を行使した場合、報酬も按分金額と見なされるため、注意が必要。)
個人所得税に関する変更点
- 外国企業の株式の売却益について、5年間所有していることに伴う免税が適用できなくなる。
- 有価証券等の取得費の算出にあたり、先入先出(FIFO) 方式は単一の証券口座内でのみ使用できる。
- 外国エージェントとして指定された納税者に対する税優遇措置が制限される。
- 個人(親族以外)から贈与されたあらゆる種類の証券および金融派生商品への免税が制限される。
- 税金が納税代理人により全額源泉徴収されていない場合、納税者に所得の申告納税義務が生じる。
- 税金の滞納金について、納税者の異議がない限り、税務署は裁判所を経由せずに納税者個人口座から徴収可能となる。
- ロシアで就労する「非居住者」のうち、ユーラシア経済連合(EAEU)加盟国 (例、カザフスタン)の居住者やその国籍者は、労働の対価に従来の税率30%の代わりに、居住者の税率13%~22%が適用される。
外国法人の税務登録の導入
- インターネットを通じて個人がサービスを提供し、その個人に報酬を支払う外国法人(例:ロシアで活動するブロガーへの支払い)は、ロシアでの税務登録が義務付けられる。
- この税務登録は、個人所得税目的に必要であり、既にVAT登録(例:電子サービス提供者として)をしている場合でも、別途税務登録が必要となる。
B1によるご支援内容
急速に変化する税制環境において、B1チームは専門的なサポートを常に提供しています。具体的には以下の支援が可能です。
- 会計システムの修正・変更のための方法論的支援
- 税務当局への複雑な方法論的問題に関するプライベート・ルーリングの取得支援
- 会計・税務方針の変更に関する助言
- 税金計算・申告書のレビュー
- その他、税務に関する専門的なガイダンス全般
B1ジャパンデスクの日本語のウェブサイト: https://b1.ru/en/japan-desk-jp/
留意点
本アラートでは、各トピックにおける概要を一般情報としてまとめたものです。 クライアントのロシア取引に際してのアドバイスではありませんので、本アラートの情報をもとに行われた取引については、B1では責任を負いません。各取引を行うにあたっては、専門家のアドバイスを別途受けてから行うことをお薦めします。 英文と露文アラートは、2025年11月19日時点に執筆しております。なお、今後の情勢次第で、上記内容の変更・更新が行われる可能性がありますので、最新情報を常に把握することが重要です。