HQSの最低給与基準の大幅な引き上げ法案が下院で第一読会を通過
B1 Tax & Legal Messengers
高度専門性をもつ外国人 (Highly Qualified Specialist、 HQS) の最低給与基準の大幅な引き上げに関する法案が2026年3月18日に下院で第一読会を通過しました。
改正案が採択された場合、この新たな給与水準を満たさないHQS従業員 は、この制度の下でロシア国内で就労を継続することができなくなります。
雇用者は当該外国人との雇用契約を解消するか、または他の移民制度にもとづく労働許可を取得する必要があります。
適切な制度の選定と、必要なすべての手続きの完了には相当な時間を要しますので、2026年9月から新たな移民手続きが完了するまでの間、外国人従業員が就労できない一時的な空白期間が生じる可能性があります。
法律上、従業員がHQSの資格を確認する唯一の基準は、給与水準です。HQSの移民制度は、通常、外国人を管理職として採用する際に利用されますが、給与水準をみたせば溶接工などのブルーカラーにも適用可能です。現在、HQSの最低給与水準 (特別カテゴリーを除く)は、四半期あたり750,000ルーブル(月額約250,000ルーブル)です。
法案では、この給与水準を、現行のほぼ3倍にあたる月額717,000ルーブルに引き上げること、さらに、給与基準を毎年物価指数などに連動させることも提案されています。法案では、賃金に関する改定は2026年9月1日から施行される予定です。
HQS の雇用者がとるべき対応
-
現行の給与水準が新たな要件を満たしていない、現在雇用中のHQSおよび新規採用予定のHQSのリストを作成すること
-
該当する従業員を引き続き雇用し、給与を新要件に引き上げることが現実的に可能かを判断すること
-
他の移民制度の下で当該従業員を再雇用する場合の実現可能性を検討すること。その際、各制度に要する期間や具体的な要件(外国人雇用のための外国人雇用枠の取得、従業員によるロシア語・歴史・法律の試験受験の必要性、公証付き卒業証明書の提出要件、簡素化手続きによる一時居住許可証(РВП)の取得可能性や特別な移民制度の利用の可否など)を考慮すること
-
新たな移民制度への移行に向けた詳細なロードマップを作成するか、あるいは新要件の施行前に従業員を解雇する判断を下す。新たなHQS給与要件の施行日から、非HQSとしての就労許可が取得されるまでの間に生じる可能性のある就労不可期間に、どのような対応が必要かを見極め、計画の実行を開始すること
-
外国人従業員に対し、変更内容および雇用者の対応について周知すること
-
アパートの大家、人事部、経理部、その他の関係者に対し、HQSステータスの喪失に伴う変更(滞在登録の期限短縮、税法上の「非居住者」の所得に対して通常の個人所得税率の適用、社会保険料の支払い義務など)を通知すること
これらの課題は容易ではなく、法案では提案された変更に適応するための時間が極めて短いことから、結果的に、雇用主は重要な従業員を失い、プロジェクトの納期に間に合わなくなったり、最も不適切なタイミングで外国人管理者を失ったりする事態に陥る可能性があります。
弊社では、この困難なプロセスのあらゆる段階において、皆様をサポートいたします。具体的には、皆様の状況に最も適した移民制度の選定、ロードマップの策定、潜在的な問題の事前特定、外国人従業員を対象とした移民制度や個人所得税にガイダンス、HQS優遇措置の喪失に伴う変更点に関する関係者向けの情報資料の作成などに対応いたします。
留意点
本アラートでは、各トピックにおける概要を一般情報としてまとめたものです。 クライアントのロシア取引に際してのアドバイスではありませんので、本アラートの情報をもとに行われた取引については、B1では責任を負いません。各取引を行うにあたっては、専門家のアドバイスを別途受けてから行うことをお薦めします。 英文と露文アラートは、2026年3月19日時点に執筆しております。なお、今後の情勢次第で、上記内容の変更・更新が行われる可能性がありますので、最新情報を常に把握することが重要です。